住所はもう書かなくていい?
私たちが日々当たり前のように使っている「住所」。だけど実は、この住所という存在が、たくさんの「面倒」の原因になっていることに気づいていますか?
オンラインショッピングでの入力の手間、病院や学校での書類記入、引っ越しのたびに必要な住所変更の手続き――。一つ一つは小さな作業でも、積み重なるとかなりの負担です。そんな“あたりまえの不便”を、たった7文字で解決しようとしているのが、日本郵便の新サービス「デジタルアドレス」です。

デジタルアドレスとは?
「デジタルアドレス」とは、個人の住所を英数字7桁(例:ABC12D6)で表すコードのことです。このコードを一つ入力するだけで、建物名や部屋番号を含む正確な住所情報が自動的に呼び出されます。
サービスの利用には、日本郵便のアカウント「ゆうID」への登録が必要ですが、登録が済めば郵便局アプリから無料で取得できます。そして、ゆうパックの送り状作成時などにそのコードを入力すれば、住所入力が自動で完了。驚くほどスムーズに荷物の宛先を指定できるのです。
実際、なにが変わるのか?
これまでも郵便番号で一部住所の入力は省略できましたが、それは町名や丁目まで。マンション名や部屋番号までは自分で入力しなければなりませんでした。しかし、デジタルアドレスなら、そこまで一括でカバーできます。
たとえば、オンラインショップでの購入時、あるいは書類の記入時、デジタルアドレスを入力するだけで、住所全体が正しく入力されるという仕組み。文字の打ち間違いや、入力ミスによる再配達の心配も減りますし、日本語が苦手な外国人や子どもでも扱いやすくなります。
引越ししてもコードはそのまま
この仕組みの最大の強みは「変わらないこと」です。引越しても、ゆうIDの情報を更新するだけで、同じ7桁のコードで新しい住所を伝えることができます。つまり、住所そのものではなく、「コードにひもづいた住所情報」が変わるのです。
この仕組みは、役所や学校、銀行など、住所変更が必要な場面で大きなメリットになります。一つ一つ手続きをしなくても、コード一つで変更が反映されれば、手間もミスも減らすことができます。

実は、企業にとってもメリット大
デジタルアドレスの恩恵を受けるのは、個人だけではありません。企業にとっても、大きな利点があります。たとえば、顧客が入力した住所が曖昧だったり、表記にばらつきがあると、配達トラブルが起こりやすくなります。ですが、デジタルアドレスを使えば、どの顧客の住所も正確に統一されたデータとして取得できるようになります。
すでに楽天やGMOなどの企業も導入を検討しており、今後はネット通販サイトやタクシーアプリなど、生活のあらゆる場面に広がっていく可能性が高いといえます。
セキュリティは大丈夫?
「住所が7桁のコードになるなんて、誰でも見られちゃうんじゃないの?」と不安に思うかもしれません。しかし、その心配はありません。デジタルアドレスからは、個人名や住人の情報を特定することはできません。コードを知っているだけでは、どこの誰かまではわからない設計になっているのです。
さらに、コードはいつでも削除・再発行が可能。不正な利用を防ぐため、検索回数に制限を設けたり、異常アクセスを防ぐ仕組みも組み込まれています。データ管理も、個人情報とは別のサーバーで厳重に行われており、安心して使えるように配慮されています。
「あたりまえの手間」に挑む、デジタルアドレスの本当の価値
日常の中で私たちが繰り返し直面する「住所にまつわる面倒ごと」。それは一見すると小さなことのように見えますが、積み重なると大きなストレスになります。そして、それが「当たり前」として見過ごされてきたからこそ、日本郵便はこの問題を正面から見つめ、改善への一歩を踏み出しました。それが「デジタルアドレス」という仕組みなのです。
無意識に感じていた不便の正体
たとえば、あなたが通販で商品を購入するとき、フォームに住所を入力しようとしてつまずいた経験はありませんか?住所が長すぎて何度も見直したり、全角・半角の違いでエラーが出たり、都道府県を選ぶところで指が止まってしまったり。普段使う住所でもこれだけのストレスがあるのです。もし相手の住所を入力しなければならないとなると、その負担はさらに増します。
書類の世界でも同様です。病院の問診票、学校の申込書、行政手続きの書類など、まだまだ手書きで住所を書く場面はたくさんあります。時間がない時や急いでいる時に限って、そうした書類が必要になることもあります。繰り返し同じ住所を書くという行為は、ただの作業であるだけでなく、精神的にも「またか…」という小さなストレスを生み出してきました。
そして引越し。これは住所にまつわる最大の“手間のかたまり”といえるでしょう。役所での手続きはもちろん、クレジットカードや銀行、通販サイト、スマホアプリ、保険、学校…。一つひとつに連絡をしなければならないその煩雑さは、誰もが経験していることでしょう。実際、日本郵便の調査でも、引越しにともなう住所変更を「面倒」と答えた人は85%以上にのぼりました。
それを、たった7文字に集約するという挑戦
こうした「住所にまつわる不便」を根本から変えようとするのが、デジタルアドレスです。たった7文字のコードを入力するだけで、自分の住所全体が呼び出されるこの仕組みは、ただの便利な“略記法”ではありません。これは、今までの「住所の書き方」を再定義する、いわば“新しいルール”なのです。
これまで住所というものは、「地域」や「地名」に依存していました。しかしそれは、表記のゆれや記入ミス、読みにくさといった問題を引き起こしていました。デジタルアドレスはその地域性から一度切り離し、コードという共通言語で情報を表現することで、誰にでもわかりやすく、どこでも通じる仕組みにしようとしています。
「変わる住所」「変わらないコード」
デジタルアドレスの最大の特徴は、「住所が変わっても、コードは変わらない」という点です。これはとても大きな意味を持ちます。住所というのは本来「土地」や「建物」につくものでした。しかしデジタルアドレスは、「人」にひもづきます。引越しても、結婚して名字が変わっても、コードはそのまま使い続けられるのです。
この設計によって、今までは「新しい住所を毎回伝える必要があった」場面が、「コードをそのまま使えばいい」ものに変わります。サービスを受けるたびに、誰かに新住所を知らせるという行為が不要になることで、情報の更新ミスや伝え漏れのリスクも減少します。
社会全体への波及効果
個人の利便性だけでなく、社会全体にとってもデジタルアドレスは有益です。郵便物や荷物の誤配、再配達の原因の多くは、住所の記入ミスや不正確さにあります。入力ミスが減れば、それだけ配送効率が上がり、物流全体がスムーズになります。
さらに、企業側にとっても、顧客の住所情報を正確に取得できることで、マーケティングや顧客管理の質が上がります。顧客の手間も減り、企業の負担も軽くなる。これは「使う人」「届ける人」「受け取る人」すべてにとってメリットのある仕組みといえるでしょう。
表には見えない「文化」も守る
もう一つ注目したいのは、デジタルアドレスが「日本の住所文化」を壊さずに、便利さだけを取り入れようとしている点です。地名には、その土地の歴史や物語が込められています。「住所をコード化する」と聞くと、無機質な印象を受けるかもしれませんが、実際には従来の住所が消えるわけではありません。あくまでその入力や管理を支える“道具”として、デジタルアドレスが活用されるのです。
あたりまえの不便を、もう一度見直す
住所は、すべての人が関わる「社会の共通語」です。だからこそ、その不便さに私たちは無意識に慣れてしまい、改善の余地があることに気づきにくくなっていました。デジタルアドレスは、そんな見えない不満に目を向け、新しい仕組みを提示することで、社会のあたりまえを変えようとしています。
便利に、正確に、そして安全に。――「住所」という社会の土台を、もっとやさしく、もっとシンプルに変えていく。デジタルアドレスは、その第一歩にすぎません。けれど、たった7文字のコードが、私たちの暮らしをこんなにも軽やかにしてくれるなら、それは十分に革命と呼べるのではないでしょうか。
デジタルアドレスの使い方
取得から活用まで、あなたの生活にどう役立つ?
ここまでで、「デジタルアドレス」がどんな仕組みで、なぜ生まれたのかを見てきました。では、実際に使いたいと思ったとき、どのように取得し、どんな場面で活用できるのでしょうか?この章では、あなたがデジタルアドレスを手に入れ、日常の中で役立てていくための具体的なステップを紹介します。
まずはアプリをダウンロードしよう
デジタルアドレスを使い始めるには、スマートフォンに「郵便局アプリ」をインストールする必要があります。App Store(iPhone)やGoogle Play(Android)で「郵便局」と検索すれば、すぐに見つかるはずです。このアプリが、デジタルアドレスを管理したり、ゆうパックなどの送り状を作成したりするための中心的なツールになります。
アプリを入れたら、次は「ゆうID」というアカウントを作成します。これは日本郵便の公式サービスを利用するための共通IDで、すでに約1500万人が登録しています。登録は無料で、名前・住所・メールアドレスなどを入力するだけで完了します。
デジタルアドレスの取得ステップ
以下に、郵便局アプリからデジタルアドレスを取得する手順を簡単に説明します。
- アプリを開き、下部メニューの「アカウント」をタップします。
- 「関連サービス」の中にある「デジタルアドレス」を選択します。
- 表示される案内に従って、画面を操作していくと、あなただけの7桁の英数字コードが発行されます。
このコードが、いわば「あなた専用の短縮住所」として機能するようになります。もし途中で住所を変更した場合でも、このコードはそのまま使えます。新しい住所にひも付け直されるからです。

なお、パソコンからWeb版でも取得できますが、スマホアプリの方が使い勝手がよく、連携サービスも豊富なのでおすすめです。
今、どこで使えるの?
2025年5月時点で、デジタルアドレスが利用できるのは、主に「ゆうパックの送り状作成」機能です。郵便局アプリで送り状を作る際に、送り先として相手のデジタルアドレスを入力すると、自動でフルの住所が入力されます。
これは、自分の住所を入力する場合だけでなく、相手からコードを教えてもらっておけば、その人の正確な住所をミスなく呼び出せるという点で、贈り物やEC取引でも役立ちます。
また、今後は楽天やGMOなど、ネット通販企業でも対応が進む予定です。たとえば、購入手続きの住所欄に「デジタルアドレス入力」ボタンが追加され、そこにコードを入れるだけで配送先が反映されるようになるかもしれません。タクシーアプリでの目的地入力、学校やホテルでの簡易チェックインにも応用される見込みです。
使い方で注意すべきこと
便利なデジタルアドレスですが、いくつか知っておいてほしいポイントがあります。まず、現時点ではこのコードだけで郵便物を送ることはできません。送り状などには、引き続き郵便番号・フルの住所・氏名を記載する必要があります。あくまで「入力をサポートするツール」という位置づけです。
また、他人にコードを知られると、そのコードにひも付いた住所情報が見られる可能性があります。といっても、名前などは検索できない設計になっているため、完全なプライバシー漏洩にはなりません。それでも気になる場合は、コードを削除して再発行することも可能です。
日本郵便では、短時間に大量の検索があった場合には自動でブロックする仕組みや、住所情報と個人情報を分けて管理するなど、安全性にも配慮しています。
法人やサービス側の使い道
個人だけでなく、事業者にとってもデジタルアドレスの活用は魅力的です。たとえば、ECサイトではユーザーが住所を間違って入力してしまうと、商品の誤配送が起きることがあります。デジタルアドレスを使えば、こうしたミスが減り、管理コストや再配送の手間も省けます。
また、建物名や部屋番号の記入漏れといった“抜け”がなくなることで、より正確な顧客データを取得できます。将来的には、ブランドを表すようなコード(例:「JPP1234」など)を企業が取得する仕組みも検討されています。
さらに、住所の使い分け(例:自宅用、事務所用、返品受付用など)や、地図サービスやガイドブックへの連携も期待されており、企業と消費者の双方に新しい利便性を提供しようとしています。
日常に溶け込む日は近い
現時点では、まだ対応サービスが限られているデジタルアドレスですが、そのポテンシャルは非常に大きいものです。導入が進むほど、私たちの生活に自然に馴染んでいき、気づけば「昔は長い住所を書いてたよね」と懐かしむ日が来るかもしれません。
特に、若い世代やデジタル機器に親しんだ人々にとっては、このシンプルなコードが日常の“当たり前”になっていく可能性が高いのです。住所を書くのが苦手だった子どもや、海外から日本に来た人にも優しい仕組みとして、広く活用されていくことでしょう。
デジタルアドレスが目指す未来
住所が「社会インフラ」になるということ
これまで私たちは、住所というものを「決まった書き方の情報」として、ただ受け入れてきました。番地、丁目、建物名、部屋番号――すべてを間違えずに書かなければならないもの。でも、そうした住所のあり方が、時代に合わなくなってきているのではないか?そんな問いかけから生まれたのが、デジタルアドレスという新しい発想です。
では、この仕組みは今後どんな社会を作っていくのでしょうか。ここでは、デジタルアドレスが描く未来の姿を、4つのステップに分けて解説していきます。
第1段階:「書く・入力が楽になる」日常から
現在、私たちが触れているデジタルアドレスの使い方は、いわば“入り口”にすぎません。まずは郵便局アプリでの送り状作成を通して、「入力の手間をなくす」ことからスタートしています。この段階では、住所を7文字で表現できるという便利さが、個人ユーザーの日常生活に小さな変化を与えています。
この段階のメリットはすでに実感しやすいものです。入力のミスが減り、長い住所を何度も書く必要もなくなります。日本語が苦手な人、字を書くのが苦手な人、小さな子どもにとっても、このシンプルなコードは新しいコミュニケーションの形になるかもしれません。
第2段階:「住所の正規化」と「価値の向上」
住所の入力が簡単になると、次に見えてくるのは「正確なデータの価値」です。日本の住所は非常に複雑で、同じ場所でも表記の違い(「1丁目1番地1号」と「1-1-1」など)が存在したり、似たような地名が複数あるため、誤解やミスが生まれがちでした。
デジタルアドレスは、こうした曖昧さを排除し、1人ひとりの「正しい場所」を唯一のコードで示せる仕組みです。企業はこの情報をもとに、より正確にユーザーを識別できるようになりますし、個人の側も「伝え間違い」や「書き間違い」によるストレスから解放されます。
さらにこの段階では、デジタル庁が目指している「アドレス・ベース・レジストリ」との連携も視野に入っています。これは、全国すべての住所をデジタルで一元管理する国家プロジェクトで、将来の行政サービスや災害対策の基盤にもなり得るものです。
第3段階:「物流・生活サービスの高度化」へ
次にやってくるのは、デジタルアドレスを使った物流や生活サービスの進化です。現在の住所では、配達の際に起こりうるミスや手間がたくさんあります。特にマンションやオフィスビルでは、部屋番号の記入漏れなどが再配達の原因になります。
しかし、デジタルアドレスならその心配がありません。コードにあらかじめ正しい部屋番号まで登録されているので、配達員は迷わず届けることができます。これは郵便や宅配だけでなく、タクシーアプリ、カーナビ、さらにはドローン配送や無人ロボットの住所指定にも応用できる可能性を持っています。
将来的には、「お店の入り口」「駐車場の位置」「イベントの受付場所」など、従来の住所では伝えきれなかった情報も、コードにひもづけて伝えられるようになるかもしれません。これにより、社会全体の“動線”がスムーズになり、都市の効率性も大きく向上するでしょう。
第4段階:「社会インフラ」としての定着
最終的に、デジタルアドレスは「社会インフラ」としての役割を担うようになります。これはつまり、「電気」や「水道」のように、すべての人があたりまえに使う“基盤”となるということです。
たとえば、災害時に避難所の位置を簡単に共有したり、外国人観光客がガイドブックでデジタルアドレスを見て目的地にたどり着いたり。企業では、部署ごとに異なるアドレスを使い分けることで業務の効率化が進みますし、学校や行政サービスでは、住所を入力するだけで必要な地域情報が一括で表示される未来が想定されています。
さらに、ブランドや地域性を反映した「カスタムコード」も導入される予定です。たとえば、日本郵便なら「JPP1234」、浅草の商店街なら「ASKxxxx」といった形で、地域に誇りを持ちつつ利便性を追求することも可能になるでしょう。
図:デジタルアドレス未来ロードマップ(4段階)
フェーズ 内容 例 第1段階 書く・入力が楽になる 郵便局アプリの送り状 第2段階 住所の正規化・付加価値化 アドレス統一・誤配防止 第3段階 物流・サービスの高度化 ドローン配送、カーナビ 第4段階 社会インフラ化 公共機関・企業・観光で定着
デジタルアドレスに潜むリスクとその対策
便利な仕組みを、安心して使うために
デジタルアドレスはとても便利な仕組みです。長い住所を短く伝えられることで、生活はよりスムーズに、快適になります。でも、便利なものには、必ず「使い方」に気をつけなければいけない面があります。たとえば、スマホやSNSだって便利だけれど、使い方を間違えるとトラブルになることがありますよね。
この章では、デジタルアドレスを安全に使うために、私たちが知っておくべきリスクと、ちゃんとした対策についてわかりやすく解説します。
他人にアドレスを知られてしまうと?
デジタルアドレスは7桁の英数字でできており、それだけであなたの登録した住所を呼び出すことができます。ということは、もし悪意のある第三者にこのコードを知られてしまったら、あなたの住所が知られてしまうかもしれないということです。
もちろん、名前まではわかりませんし、誰がその住所に住んでいるかを検索することはできません。それでも、「どこに住んでいるかがバレてしまう可能性がある」という点で、プライバシーに関わるリスクといえます。
対策:
日本郵便では、こうしたリスクに対応するために「アドレスの削除・再発行」機能を用意しています。万が一、誰かに知られてしまったり、不安を感じたときは、すぐにアプリからそのデジタルアドレスを削除して、新しいコードを取得することができます。
また、知られたくない相手には、そもそもデジタルアドレスを教えないというのも重要な自己防衛になります。
無作為な入力による“住所の特定”
インターネットの技術を使えば、「たくさんのコードを自動的に試して、どんな住所が出てくるか調べる」というようなことを試みる人が現れるかもしれません。これを「総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)」と呼びます。
こうした行為が成功してしまうと、不特定多数のデジタルアドレスに対して、本来知られるべきでない住所が露出してしまう可能性があります。
対策:
このリスクに対しても、日本郵便では万全のシステムを整えています。たとえば、ある一定時間内に大量のデジタルアドレス検索があった場合、それを検知して自動的にブロックする「異常アクセス検知システム」が導入されています。
また、デジタルアドレスの検索ログは管理されており、不審な挙動があれば即座に調査・対応が行われます。
個人情報の流出?
インターネット上のサービスでは、「情報漏えい」という言葉をよく耳にします。名前、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が流出すると、大きな問題になりますよね。
では、デジタルアドレスは安全なのでしょうか?
対策:
実は、デジタルアドレスは「個人情報とは別のデータベース」で管理されています。つまり、仮にデジタルアドレスのサーバーが攻撃を受けたとしても、名前や電話番号といった情報までは一緒に流出しないよう、あらかじめ分離設計がされているのです。
さらに、デジタルアドレスのシステム全体は、個人を特定できないような構造になっています。これにより、情報漏えいが起きたとしても、リスクは最小限に抑えられるよう配慮されています。
図:データベースの構造イメージ
markdownコピーする編集する┌────────────────────┐
│ デジタルアドレス管理サーバー │
│ (例:ABC12D6 → 東京都千代田区…) │
└────────────────────┘
↑ ↓(連携のみ)
┌────────────────────┐
│ ゆうID個人情報データベース │
│ (名前、電話番号、メールアドレス等)│
└────────────────────┘
※データは分離して安全に管理
過信による「使いすぎ」
デジタルアドレスが便利すぎるあまり、「もう住所なんて使わなくてもいいんだ」と思い込んでしまう人がいるかもしれません。しかし現時点では、郵便や荷物を送るときにデジタルアドレスだけで完結することはできません。
送り状や伝票には、やはり郵便番号・住所・氏名を記載する必要があります。デジタルアドレスはあくまで「入力を助けるツール」であって、すべての住所情報を代替するわけではないのです。
対策:
この点を理解した上で、正しく使い分けましょう。たとえば「住所を書くのが面倒なときに補助的に使う」「相手に住所を教えたいけど、長すぎて困るときに使う」など、状況に応じて活用するのが賢い使い方です。
また、企業や自治体がこの仕組みに対応していない場合は、従来どおりの住所表記が必要になりますので注意が必要です。
安全に使うために大切な心構え
どんなに便利なサービスでも、「使い方を理解すること」がとても重要です。デジタルアドレスはまだ新しい仕組みなので、社会全体に浸透するには時間がかかるかもしれません。その分、正しく理解している人が、正しく伝えていくことが、安心して使える社会づくりにつながります。
もし子どもやお年寄りが使うときには、家族で一緒に使い方を確認したり、不安な点があれば日本郵便のサポートを利用したりすることもおすすめです。
信頼は「理解」から始まる
デジタルアドレスは、私たちの暮らしを便利にするためのツールです。でもその一方で、ちょっとした誤解や油断からトラブルが起きる可能性もあります。
だからこそ、「ただ便利だから使う」のではなく、「どうして安全なのか」「どうすればもっと安心できるのか」を知ることが大切です。理解が深まれば深まるほど、私たちはこの仕組みをもっと上手に、もっと安心して活用できるようになるのです。
よくある質問(FAQ)
デジタルアドレスって実際どうなの?みんなの疑問に答えます
デジタルアドレスはとても便利そう。でも、いざ使おうとすると「これって本当に大丈夫?」「どこまでできるの?」といった疑問も浮かんできますよね。このセクションでは、実際によく聞かれる質問を取り上げ、わかりやすく答えていきます。
Q1. デジタルアドレスはどうやって取得するの?
A:郵便局アプリまたはWebで取得できます。
スマートフォンで「郵便局アプリ」をダウンロードし、ゆうIDでログインしたあと、「アカウント」→「デジタルアドレス」の順にタップして、画面の案内に沿って進めれば、7桁の英数字コードが発行されます。
Web版からも取得できますが、スマホの方が操作しやすく、連携機能も多いためおすすめです。どちらの場合も「ゆうID」の登録が必須となります。
Q2. 取得するのにお金はかかるの?
A:無料で利用できます。
デジタルアドレスは、取得も利用もすべて無料です。将来的に法人向けに有料プランが出る可能性はありますが、個人利用で費用が発生することはありません。
Q3. 郵便物や荷物はデジタルアドレスだけで届くの?
A:現時点では届きません。
郵便物を届けるためには、従来どおり「郵便番号・住所・氏名」の記載が必要です。デジタルアドレスはあくまで「住所を入力する手助けをするコード」なので、伝票や送り状にコードだけ書いても配達はされません。
Q4. じゃあ、どこで使えるの?
A:まずは郵便局アプリ内の「ゆうパック」送り状作成で使えます。
2025年5月時点では、郵便局アプリの「送り状作成」機能で、送り先の住所をデジタルアドレスから呼び出すことができます。今後は、楽天やGMOなどのネット通販、タクシーアプリ、公共サービスでも利用が拡大していく予定です。
Q5. デジタルアドレスを他人に教えても大丈夫?
A:基本的には問題ありませんが、慎重な取り扱いが必要です。
デジタルアドレスを知っているだけでは、名前や電話番号などの個人情報はわかりません。でも、住所そのものは見られる可能性があるので、知られたくない相手には教えない方が安心です。不安なときはすぐに削除・再取得できます。
Q6. 複数のアドレスを持つことはできるの?
A:はい、できます。
たとえば、自宅用と事業所用、あるいは個人用と家族用など、目的別に複数のデジタルアドレスを取得することが可能です。それぞれ異なるゆうIDにひも付ける形で運用されるため、管理も柔軟にできます。
Q7. 住所を引っ越したら、コードは変わるの?
A:コードは変わりません。
住所が変わったら、ゆうIDにログインして「登録住所」を変更するだけで、同じデジタルアドレスで最新の住所が反映されます。これは、デジタルアドレスが「人にひも付く」仕組みだからこそできる技術です。
Q8. 郵便局の窓口で取得できるの?
A:今のところはアプリやWeb限定です。
現在、郵便局の窓口ではデジタルアドレスの発行・取得は行っていません。スマートフォンまたはパソコンで、オンラインでの手続きを行う必要があります。
Q9. デジタルアドレスと郵便番号はどう違うの?
A:郵便番号は「地域」を表し、デジタルアドレスは「個人の住所全体」を表します。
郵便番号は市区町村や町名レベルまでしかカバーしていませんが、デジタルアドレスは建物名や部屋番号まで含む「ピンポイントな住所情報」をコード化しています。そのため、より精度の高い住所指定が可能になります。
Q10. 間違ったコードを入力したらどうなるの?
A:存在しないコードなら何も起きません。
仮に間違ったコードを入力してしまった場合、対応する住所が存在しないためエラーが出るだけで、情報が漏れることはありません。ただし、実在する他人のコードを入力した場合は、その住所情報が表示される可能性があるため注意が必要です。
わからないことがあったらどうすれば?
もしこのFAQで解決できない疑問があれば、郵便局アプリ内の「ヘルプ」や「お問い合わせ」機能を活用しましょう。また、公式サイトには詳しいマニュアルやQ&Aが掲載されています。
デジタルアドレスはまだ新しいサービスです。使っていく中で少しずつ慣れていくことが大切ですし、わからないことをそのままにせず確認していく姿勢が、安全で快適な利用につながります。