「衆議院選挙が終わった後、ニュースでよく耳にする「特別国会」という言葉。 「ふだんの国会と何が違うの?」「なぜわざわざ首相を選び直す必要があるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
今回の特別国会(2026年2月18日召集)は、第1次高市内閣が一度総辞職し、新たに「第2次内閣」がスタートする非常に重要な節目となります。
実は、特別国会は新しい政治の体制を整えるための「リセットと再始動」の場。これを知っておくだけで、日々のニュースの見え方がガラリと変わります。
特別国会とは?(役割と仕組み)
特別国会(正式名称:特別会)は、一言でいえば「新しく選ばれた衆議院議員たちが、国の新体制を整えるための国会」です。
憲法第54条により、「衆議院の解散にともなう総選挙の日から30日以内に召集しなければならない」と定められています。なぜわざわざ「特別」な国会を開くのか、その主な役割を3つのステップで見ていきましょう。
ステップ① 内閣総辞職して一度「リセット」する
特別国会が始まると、まず最初に行われるのが「内閣総辞職」です。
たとえ選挙で与党が勝利し、同じ首相が続投することが確実視されていても、憲法のルール(第70条)によって現在の内閣は一度全員辞職しなければなりません。これは、選挙によって衆議院議員の顔ぶれが変わった以上、「国民の最新の意思(民意)に基づいて、改めて内閣を信任し直す必要がある」と考えられているからです。
豆知識:総辞職後の内閣はどうなる? 職を辞した後の内閣は、次の総理大臣が任命されるまでの間、「職務執行内閣」として、行政が滞らないための最低限の事務だけを行います。
ステップ② 議院の構成を作る
次に、国会を運営するための役職を決めます。
- 衆議院正副議長の選出: 国会のリーダーである「議長」と、そのサポート役の「副議長」を、議員たちの投票で選びます。
- 委員会の構成: 予算や外交など、専門分野ごとに議論を行う「常任委員会」のメンバーや委員長を割り振ります。
これによって、ようやく国会として議論ができる「土台」が完成します。
ステップ③ 内閣総理大臣の指名
特別国会の最大のハイライトが、この「首相指名選挙」です。
衆議院と参議院のそれぞれで投票が行われ、国会議員の中から次の総理大臣を指名します。 今回(2026年2月)のケースでは、改めて高市氏が指名され、新しい閣僚(大臣)を任命することで「第2次高市内閣」が発足する、という流れになります。
特別国会が持つ「2つの意味」
- 憲法上の義務: 選挙後の新議員による最初の顔合わせと体制構築。
- 民主主義のプロセス: 「選挙の結果」を「政府の形」に反映させるための、最も重要な手続き。
このように、特別国会は単なる会議ではなく、日本の政治を動かす「OSの再起動」のような役割を担っているのです。
「臨時国会」「通常国会」との違い
ニュースを見ていると「臨時国会が召集された」「通常国会が延長された」など、さまざまな言葉が出てきます。特別国会と何が違うのか、そのポイントは「召集のタイミング」と「主な目的」にあります。
まずは、こちらの比較表で全体像をつかみましょう。
国会の種類と違いのまとめ表
| 項目 | 通常国会(常会) | 臨時国会(臨時会) | 特別国会(特別会) |
| いつ開かれる? | 毎年1回、1月中に召集 | 必要に応じて(内閣の決定や議員の要求など) | 衆議院解散・総選挙の後(30日以内) |
| 主な目的 | 翌年度の予算案の審議、新しい法律の作成 | 補正予算の審議、急ぎの重要法案の議論 | 内閣総理大臣の指名、国会の組織作り |
| 会期(期間) | 150日間(延長は1回まで) | その都度、両議院の議決で決定 | その都度、両議院の議決で決定 |
それぞれの役割を詳しく解説
① 通常国会(常会):国の「家計簿」を決める場
毎年1月に必ず始まる、最も期間の長い国会です。最大の任務は、4月から始まる新しい年度の「予算(国の使い道)」を決めること。私たちの生活に直結する税金や福祉のルールも、主にここでじっくり話し合われます。
② 臨時国会(臨時会):緊急事態や「宿題」を片付ける場
「災害が起きて急いで予算が必要になった」「どうしても今会期中に通したい法律がある」という時に、内閣の判断などで開かれます。通常国会で決まりきらなかった「宿題」を議論することもあります。
③ 特別国会(特別会):新しい「チーム」を組む場
今回のケースがこれに当たります。解散総選挙によって衆議院議員が入れ替わった直後、「誰をリーダー(首相)にするか」を決めるためだけの特別な場です。
2026年2月のケースは「ハイブリッド」?
実は、今回の特別国会は少し特殊です。本来、1月には「通常国会」が開かれるはずですが、今回は選挙の関係で2月に「特別国会」が召集されました。そのため、今回の特別国会は「首相指名」を行うだけでなく、本来通常国会でやるはずだった「2026年度予算案」の審議なども並行して行うという、非常にボリュームの大きい国会になります。
ここまでのまとめ
- 通常国会=毎年のルーティン(予算重視)
- 臨時国会=困った時や急ぎの時(案件重視)
- 特別国会=選挙の直後(人選重視)
と覚えておくと、ニュースの理解度がグッと深まります。
2026年2月の特別国会、スケジュールと注目点は?
今回の特別国会(第221回)は、2026年2月8日に行われた衆院選の結果を受けて召集されました。自民党が戦後最高となる議席占有率(68%)を記録した歴史的な選挙を経て、政治がどう動き出すのか、主要な流れとポイントを整理します。
特別国会の主要スケジュール
2月18日から始まる国会の主な流れは以下の通りです。
- 2月18日(召集日): 衆参両院の本会議が開かれ、第1次高市内閣が総辞職。
- 衆院議長に森英介氏(自民)、副議長に石井啓一氏(中道改革連合)を選出。
- 首相指名選挙が行われ、高市氏が第105代首相に選出される。
- その後、ただちに組閣を行い、「第2次高市内閣」が発足。
- 2月20日: 高市首相による施政方針演説。今後の国政の羅針盤が示されます。
- 2月下旬〜: 各党の代表質問、そして2026年度予算案の審議が本格化。
ここが焦点!3つの注目ポイント
「全員再任」の第2次高市内閣
高市首相は、昨年10月の政権発足から間もないため、今回の組閣では全閣僚を再任する方針を固めました。これは、選挙で示された圧倒的な民意を背景に、政策の継続性を重視し、スピード感を持って課題に取り組む姿勢の表れといえます。
暮らしに直結する「食料品の消費税ゼロ」
与党が選挙公約に掲げた「食料品に限った2年間の消費税減税」の行方が最大の焦点です。首相は夏前までに具体的な制度設計の大枠を示す考えで、今回の国会ではその実現に向けた激しい議論が予想されます。
異例の「150日間」長期戦
今回の特別国会の会期は、7月17日までの150日間。これは通常国会と同じ期間を丸々確保した形です。衆院選の影響で2026年度予算の審議が遅れているため、年度内成立に向けた超特急の審議、あるいは「暫定予算」の編成など、異例の国会運営が行われる可能性があります。
特別国会は「日本の新しいスタートライン」
特別国会は、単なる形式的な手続きの場ではありません。選挙で選ばれたばかりの新しい議員たちが国会議事堂に集まり、日本のリーダーを決め、新しいルール作りを始める「政治の再始動」の場です。
特に今回は、自民党が圧倒的な議席を得た一方で、新勢力「中道改革連合」や「チームみらい」がどう動くのか、野党の存在感も注目されます。
明日からのニュースで「首相指名選挙」や「施政方針演説」といった言葉が出てきたら、それは新しい日本が動き出す合図です。その行方が私たちの暮らしにどう反映されるのか、ぜひ関心を持って見守ってみてください。

