未来を先取り!スマートシティ化に挑む自治体の事例まとめ

経済

スマートシティとは何か

スマートシティの基本的な考え方

スマートシティとは、ICT(情報通信技術)やAI、IoTなどの先端テクノロジーをまちづくりに取り入れることで、都市が抱えるさまざまな課題を解決しつつ、人々の生活の質を高める取り組みを指します。わかりやすく言えば、「新しい技術をつかって、便利で暮らしやすいまちをつくろう」というものです。例えば、高齢者が多い地域なら、移動が困難な人に対してオンデマンドバスを走らせたり、医療機関が遠い場合には遠隔診療を導入したりと、地域それぞれの特徴や課題に合わせたサービスを、ICTを使って実現していくのがスマートシティです。

こうした取り組みは、単なる「まちのデジタル化」にとどまりません。高齢化や人口減少、それに伴う交通や医療の課題などを解決するためには、行政だけではなく、地域の住民、企業、大学など多様な関係者がデータや技術を共有しながら協力していく必要があります。そのため、「官民連携」という言葉がよく使われ、自治体も企業も研究機関も、それぞれの強みを活かしてプロジェクトを進めるスタイルが求められます。

スマートシティへの注目が高まる理由

  1. 人口減少・少子高齢化
    日本の多くの地域では、高齢化が進み、若い世代が少なくなっています。介護や医療のサービスを受けたい人が増える一方で、それを支える労働人口が減ってしまうという課題があります。そこでロボットやAIを使って、少ない人手でも高齢者のサポートがしやすくなる工夫が重要になります。
  2. 環境問題や災害対策
    地球温暖化や台風の大型化などが進む中、自然災害も増えています。スマートシティでは、センサーやドローン、AI予測などで災害時の被害を最小限に抑えたり、早期避難を促したりできます。たとえば河川の水位を自動で観測して、アプリを通じて住民に避難情報を素早く知らせる仕組みなどが実現します。
  3. SDGs・脱炭素社会への取り組み
    近年は、CO2排出量を減らして地球環境を守る「脱炭素」のニーズも高まっています。スマートシティでは、エネルギー消費を効率的に管理するEMS(エネルギー・マネジメント・システム)や、再生可能エネルギーを地域内で利用するマイクログリッドなどを導入して環境負荷を減らす取り組みも見られます。

スマートシティとスーパーシティの違い

  • スマートシティ
    ICTやAIを使いながら、部分部分で交通や医療、防災などを改善していくイメージ。自治体や企業が連携し、それぞれの地域の抱える課題に合わせて段階的に取り組む場合が多いです。
  • スーパーシティ
    スマートシティの進化系とも呼ばれ、「まるごと未来都市」を目指す大規模な構想です。国家戦略特区として規制緩和を活用しながら、データを一元的に管理・連携し、複数分野のサービスを一気につなげるのが特徴。住民参加が大きなキーワードで、住民目線で2030年ごろの生活を先行体験できるまちを実現しようとする取り組みです。

住民参加の大切さ

スマートシティを成功させるためには、住民の意見をしっかり取り入れることが大切です。ICTの導入だけではなく、「どういう技術を取り入れたら、住民が暮らしやすいと思うのか」を住民と一緒に考えるプロセスが必要になります。例えば、行政が準備したアンケートだけでなく、市民がまちの課題を提案し合うデジタルのプラットフォーム「Decidim(デシディム)」のような仕組みを導入している自治体もあります。


令和5年度のスマートシティ関連事業に選定された自治体たち

政府のスマートシティ推進施策

内閣府や総務省、経済産業省、国土交通省などの省庁は、連携して全国でスマートシティを推進するための事業を行っています。令和5年度に新たにスマートシティ関連事業として取り上げられた自治体は全部で32の地域あり、さらに34の関連事業に分けて採択されました。これらの自治体は、未来志向の提案を行っており、政府が総合的に支援をしているのが特徴です。

具体的な取り組み事例

  1. 福島県須賀川市
    • 翠ヶ丘公園の自動運転技術導入
      須賀川市にある翠ヶ丘公園は、駐車場から中心部にかけて坂が多く、高齢者や障がいのある方にとって移動が大変でした。そこで自動運転技術を導入して、駐車場から公園中心部へのスムーズな移動を実現しようとしています。これにより、公園を含む周辺まちの活性化も期待されています。
  2. 和歌山県橋本市
    • ごみ収集やバイオマス資源化の効率化
      人手不足や財政状況の厳しさから、ごみ処理業務を自動化しようという取り組みが進められています。IoTやクラウドシステムを活用し、市民が分別しやすい仕組みをつくることで、資源のリサイクルや環境保護にもつなげる狙いです。
  3. 神奈川県横浜市
    • 地域課題解決のためのスマートシティ推進事業
      総務省の支援を受けて、横浜市の旭区ではICタグビーコンを使った見守りや防犯サービスを整備しようとしています。スマートフォンを持たない高齢者や子どもでもICタグを携帯するだけで、必要な情報が受け取れるようになる計画です。

事業の種類

令和5年度のスマートシティ関連事業には、下記のような種類があります。

  • 未来技術社会実装事業
    AIやIoT、自動運転などの先端技術を使って、地域の経済を活性化しようという事業。公募に採択された地域には、総合支援が行われます。
  • 地域課題解決のためのスマートシティ推進事業
    総務省が実施している事業で、地域の課題解決と地方創生を支援します。都市OSの整備費などを一部助成する仕組みがあります。
  • 地域新MaaS創出推進事業
    MaaS(Mobility as a Service)の社会実装に向けて、先進的な取り組みを行う自治体に対して委託事業として支援します。
  • 日本版MaaS推進・支援事業
    MaaSにより地域課題を解決するための計画を支援する事業。サービスやデータ連携が要件に含まれ、乗り物の利便性を高めることで交通手段を最適化する狙いがあります。
  • 国土交通省スマートシティ実装化支援事業
    地域のスマートシティ計画を具体的に進めるために支援する事業。民間企業と地方公共団体が連携して早期実証を目指すのが特徴。

住民にとってのメリット

  • 生活の質が高まる
    自動運転バスによる交通手段の確保や、アプリを通じたリアルタイムの情報提供など、日常の不便を解消するサービスが増えます。
  • 災害時の安全性向上
    災害時にSNSやセンサー情報を組み合わせた避難誘導システムなどが導入されることで、迅速で正確な避難が可能になります。
  • 地域経済の活性化
    スマートシティ推進で、ITエンジニアなど新しい雇用が生まれたり、観光地におけるMaaS導入で来訪者が増えたりする効果が期待されます。

スーパーシティに応募した31の自治体一覧

スーパーシティ構想とは

先ほど触れたとおり、スーパーシティはスマートシティの一種ですが、さらに規制改革住民参画を強力に進め、「未来の都市像」をまとめて実現しようとする取り組みです。令和3年に実施されたスーパーシティ公募では、全国から31の自治体が応募し、うちつくば市や大阪市などが国家戦略特別区域として指定されました。これにより、住民がデータ連携基盤を通じて多様なサービスを一元的に受けられる未来都市を目指す流れが加速しています。

応募自治体の具体例

長野県松本市

背景・課題

  • 長野県内でも有数の観光地で、国宝・松本城や上高地が有名。
  • 一方で、高齢化や人口の減少が進み、市街地では交通渋滞、郊外では公共交通の衰退も課題となっている。
  • また、周辺地域には自然災害リスクや医療・福祉の整備などの問題もある。

取り組みテーマ

  • 「世界に先駆けるスーパーシティ松本」を掲げ、サスティナブルな医療・福祉と100%カーボンニュートラル社会の融合を目指す。
  • 具体的には、太陽光発電やバイオマスなどの再生可能エネルギーを使って、地域内で電力を融通するマイクログリッドの構築を検討中。
  • 医療面では、遠隔診療や高齢者見守りサービスの普及を進め、誰でも安心して暮らせる仕組みをつくる。

特色

  • 自然豊かな土地柄と最先端技術を掛け合わせるという点が大きなポイント。
  • 観光業や農業とも結びつけることで、地域経済の活性化を狙う。

静岡県浜松市

背景・課題

  • 浜松市は、楽器や自動車など「ものづくり産業」が盛んな政令指定都市。
  • 人口減少と少子高齢化が進むなか、さらなる企業誘致や人材育成、交通インフラの整備が必要とされている。
  • 広大な市域をカバーするうえで、公共交通の利便性向上も課題。

取り組みテーマ

  • 「Well-being スーパーシティ」の実現に注力し、生活の質(QOL)を高めるサービスを導入。
  • 特に「健康寿命の日本一」を目指して、データ連携に基づく健康管理アプリやオンライン診療を拡充。
  • ものづくりの強みを活かした新技術(産業用ロボットやAI制御など)を活用し、地域産業の次世代化を推進。

特色

  • “ものづくり+健康”を核とする独自の構想で、高齢化社会のモデルケースを築こうとしている。
  • 自動車関連産業でのノウハウをスマートシティの技術実証にも活かす考え。

大阪府大阪市

背景・課題

  • 大阪市は人口約280万人の大都市だが、都心部への人口集中や郊外との格差、インフラの老朽化など複合的な課題を抱える。
  • 2025年に開催予定の大阪・関西万博を契機に、まちを一気にアップデートしようとしている。

取り組みテーマ

  • 「健康といのち」をテーマに、広域データ連携基盤の構築を目指す。
  • 万博の会場となる夢洲(ゆめしま)や、再開発が進むうめきた2期地区を中心に、自動運転やAI医療、防災システムなどを先行実証。
  • 将来的には大阪全域に展開し、医療・ヘルスケアサービスの高度化、交通インフラの最適化などを狙う。

特色

  • 国家プロジェクトである「大阪・関西万博」と連動している点が最大の強み。
  • 規制緩和を活用して新技術を集中的に導入し、都市型の大規模スーパーシティを実現しようとしている。

神奈川県鎌倉市

背景・課題

  • 歴史的資源が豊富で、観光都市として世界的にも有名。
  • 一方、住宅街の道が狭く、慢性的な交通渋滞や住民生活の利便性低下を抱える。
  • 高齢化率の上昇と人口減少への備えも課題。

取り組みテーマ

  • 「世界一Well Beingの高いまちKamakura」を実現するため、地球環境と社会活動の共生を目指す。
  • 観光分野では、混雑状況をリアルタイムに把握する技術や、交通ルールを自動制御するシステムなどを検討。
  • 高齢化が進む地域に向けて、パーソナルモビリティやオンライン医療を導入し、移動や医療アクセスを確保。

特色

  • 古都・鎌倉の歴史的景観を守りながら、新技術を導入する難しさと挑戦がある。
  • 観光客だけでなく、市民にとっても住みやすい街づくりに重点を置いている。

熊本県荒尾市

背景・課題

  • 荒尾市は熊本県北部に位置し、人口約5万人(参考時点)。
  • 近年の大型災害や人口減少に対応するため、住民の位置情報を活用したセキュリティ対策・防災対策を強化する必要がある。

取り組みテーマ

  • 「位置情報活用によるセキュリティ見守り」を軸に、防災・防犯のインフラを整えようとしている。
  • 具体的にはGIGAスクール端末を活用し、小中学生の登下校管理や安否情報の速やかな把握を実現する仕組みを計画。
  • 同時に、高齢者の見守りや介護サービスとの連携も検討し、総合的に市民を見守る体制を構築。

特色

  • 比較的規模が小さい自治体ながら、デジタル端末や位置情報を活用してコンパクトかつ柔軟に課題解決を図ろうとしている。
  • 「防災×教育×デジタル連携」という観点で、子どもから高齢者まで幅広い世代をカバーする設計が特徴。

石川県加賀市

背景・課題

  • 加賀市は温泉地や伝統工芸で知られ、観光と農業が盛んな地域。
  • しかし、高齢化や観光客減少などの影響で、地元の産業振興と交通手段確保が課題。
  • 一方で、マイナンバーカードの普及率が70%近くと全国でもトップクラスであり、それを活かしたIT活用が可能。

取り組みテーマ

  • 「e-加賀市民制度」を中心に、市内外の人が加賀市のデジタルIDを取得し、さまざまな観光・医療・商業サービスをオンラインで利用できるようにする。
  • 観光地の混雑状況をリアルタイム配信し、観光客がストレスなく滞在できる仕組みを構築。
  • 農業については、ドローンの活用やスマートセンサーを使った農作物管理にも意欲的。

特色

  • 高いマイナンバーカード普及率が最大の武器。行政サービスや観光利用を「マイナポータル」と連動しやすく、住民が使いやすい環境を作れる見込み。
  • 観光と農業の両面でデジタル技術を導入するモデル都市を目指す。

沖縄県石垣市

背景・課題

  • 南国の観光地として人気があるが、離島特有の物流や医療アクセス、情報インフラの整備が課題。
  • 観光客の増加とコロナ禍による経済ダメージの両面にどう対応するかが重要なテーマ。

取り組みテーマ

  • 「石垣空港+石垣港の2拠点スーパーシティ構想」を掲げ、観光客と住民が共に便利になるシステムをつくる。
  • 具体的にはドローン物流やオンライン診療、マイナンバーカードやLINEとの連携による観光情報配信などを検討。
  • 島ならではの「限られた資源をどう有効活用するか」という観点で、エネルギーの地産地消やEV・バスの導入なども目指す。

特色

  • 離島の課題を最先端技術で解決するモデルケースとして注目度が高い。
  • 観光客にも利用しやすい「スマートMaaS」の整備や、島のコミュニティ強化につながる施策を検討している。

兵庫県養父市(やぶし)

背景・課題

  • 中山間地域で農業や観光が盛んだが、人口減少・高齢化が進行。
  • 2014年に国家戦略特区に指定され、中山間地域で農業の規制緩和や企業誘致などを進めてきた実績がある。

取り組みテーマ

  • 「日本一豊かでサステイナブルなスマートヴィレッジやぶ」構想を掲げ、ドローンやIoTを活用して農業や防災の効率化を図る。
  • 具体的には、農業ロボットを使ったスマート農業システムや、地域内の高齢者向け自動運転サービスなどが検討されている。
  • マイナンバーカードなどの個人認証を活用して行政手続きも簡素化し、人口誘致や関係人口の増加を目指す。

特色

  • 中山間地域特有の課題(地形が急峻、交通インフラが脆弱など)に対し、「規制緩和+ICT」で積極的に挑戦している。
  • これまでの国家戦略特区でのノウハウがあり、実証実験をスピーディーに進める体制を持つ。

スーパーシティ構想のキーワード

  • 一括データ連携
    バラバラに存在している交通、防災、医療、教育などのデータを一本化し、住民が一つのIDでさまざまなサービスを受けられるようにする。
  • 大胆な規制改革
    現在の制度では許可が必要な行為(たとえば公道での自動運転など)を、特区指定や国の特例措置で実験・導入しやすくする。
  • 住民参加
    住民は構想作りの段階から参画し、自分たちに必要なサービスやまちの姿を提案する。これにより、「押しつけ」でなく「共創」型のまちづくりが可能になる。

スーパーシティ構想と今後

スーパーシティ構想は、あくまでもスマートシティの一類型ではあるものの、より強いインパクトを持っています。すでに公募が行われて、複数の自治体が名乗りを上げていますが、実際の社会実装にはデータ連携の標準化や、住民の個人情報保護への配慮、費用の確保など、課題も多く残っています。しかし、こうした課題を乗り越えて先に実現できれば、まさに「未来都市」をいち早く体験できる地域となるでしょう。


スマートシティ推進の4つのステップ

ステップ1:初動段階

スマートシティを推進するうえでは、最初に庁内体制を整備して専門家(アドバイザーやアーキテクト)を迎え入れるなど、推進役をきちんと決めることが重要です。地域住民や企業、大学などとの対話の場を設けながら、「そもそもどんな課題があるのか」「どこを目指していくのか」といった全体像を描きます。

  • アドバイザーの役割
    技術面や事業スキームの助言を行い、行政側の知見不足をカバーしてくれます。
  • アーキテクトの役割
    スマートシティの全体設計を考え、分野横断型のサービスをコーディネートします。
  • 庁内横断チーム
    部局の垣根を越えたチームを作り、縦割りを防ぐのがポイントです。

ステップ2:準備段階

次に、市民や関係者のニーズを具体的に整理します。「本当に困っている人は誰なのか? どのような解決策が必要なのか?」を細かく聞き取ることが重要です。この段階ではステークホルダーとの対話が大きなカギです。ワークショップやオンラインアンケート、説明会などを駆使して、住民や事業者から意見を集め、スマートシティのビジョンを共有します。

ステップ3:計画(戦略)策定段階

ビジョンに沿って、具体的な戦略を立てていきます。計画策定においては以下がポイントです。

  • KPI(重要業績評価指標)の設定
    どのくらい交通の混雑を緩和するのか、どれだけ医療アクセスを改善するのかなど、定量的な指標を定めることで進捗管理がしやすくなります。
  • 財政計画やスケジュール
    実証実験から本格導入までに必要な予算、期間を明確化し、それぞれの役割分担を整理します。
  • 都市OSやデータ基盤の検討
    住民のデータを扱う以上、セキュリティや個人情報保護のルール作りが必須です。必要なシステム要件などもこの段階で詰めます。

ステップ4:実証・実装〜定着・発展段階

最後に、計画で立てたアイデアを実際に試す「実証実験」を行い、住民のフィードバックを得ながらブラッシュアップしていきます。うまくいけば本格的に実装に移り、住民の生活の中に定着させていきます。

  • 住民の理解と納得がカギ
    技術的にすばらしくても、住民から「使い方がわからない」「メリットが見えない」と思われると利用されません。周知広報や勉強会などを通じた丁寧なコミュニケーションが不可欠です。
  • 継続的な運用・改善
    スマートシティは一度作って終わりではなく、技術の進歩や社会情勢の変化に合わせて柔軟に改修する必要があります。人員や予算を確保し、メンテナンスを行っていく仕組みが求められます。

まとめと今後の展望

スマートシティが目指す未来

スマートシティは、すべての人が安心して暮らせる持続可能な社会をつくるためのキーワードです。ICTやAIなどの技術はあくまで手段であり、目指すゴールは「暮らしの質を上げる」「地域の課題を解決する」ことにあります。高齢者が移動で困らない、災害が起きても素早く避難できる、病院や買い物施設へのアクセスが悪くてもITを活用して自宅で完結できる――そんなまちを実現するには、住民一人ひとりの理解と共感が欠かせません。

課題や注意点

  1. コスト面
    スマートシティには、センサーの設置費やデータ管理システムの構築費などがかかります。国や自治体の助成があるとはいえ、長期的には自治体や地元企業が運営を担うため、持続可能な収益モデルが課題になります。
  2. 個人情報の扱い
    住民の位置情報や健康データなど、センシティブな情報も取り扱うため、十分な個人情報保護とセキュリティ対策が必要です。住民の「同意(オプトイン)」を得るプロセスや、データの扱いを透明にする仕組みが大切です。
  3. 住民理解の確保
    「新しい仕組みについていけない」「使い方がわからない」といった理由で、結局利用されないサービスが出る恐れもあります。そこで、わかりやすい説明会や勉強会、チュートリアルを充実させることが重要です。

今後の展望

  • 地方創生の柱としてのスマートシティ
    過疎地・中山間地域で自動運転やドローン配送などが現実のものとなってきています。人手不足でも、必要なサービスを回すことができる体制が整えば、地方の暮らしも豊かになるでしょう。
  • スーパーシティでの規制改革の進展
    スーパーシティ構想を活用して実際に成果が出れば、ほかの自治体へ広がり、日本全体として新たな規制緩和や技術導入が加速していく可能性があります。
  • 官民連携のさらなる強化
    スマートシティは自治体だけで進めるには限界があるため、スタートアップやIT企業、大手通信キャリアなどと協力して、イノベーションを創出し続けるプラットフォームづくりがカギを握ります。

記事全体のまとめ

スマートシティは、少子高齢化や災害リスク、環境問題など多様な課題を解決するうえで大きな期待が寄せられています。令和5年度のスマートシティ関連事業で選ばれた自治体や、スーパーシティに応募した自治体の取り組みからは、技術と人の連携がうまくいけば、まちが大きく変わる可能性を感じられます。一方で、個人情報保護や費用、住民の合意形成といった課題も多いため、じっくりと計画を立て、住民が主役になれる仕組みをつくることが重要です。

「中学生でもわかる」レベルでまとめると、「スマートシティはまちを賢くする取り組みで、人が暮らしやすい未来をめざす。みんなで意見を出し合って、新しい技術で便利で安心な生活を実現しよう」ということに尽きます。今後も自治体同士の連携や官民協働によって、より豊かで持続可能なまちが増えていくことが期待されます。


【参考・引用】

この記事を書いた人

いまさら聞けない自治体ニュースの管理人。
最近話題のニュースをアウトプットする場としてサイトを更新中。
なるべく正しい情報を届けるように心がけますが、誤った情報があればご一報ください。
本業は地方創生をメインとする会社のマーケティング担当者。

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